山行報告   剣岳周遊・小窓越え

【山域】
剣岳周遊・小窓越え
【日時】
2003年5月3日(土)〜4日(日)
【コース】
馬場島〜アルペン村〜室堂〜雷鳥沢〜剣御前〜剣山荘
剣山荘〜近藤岩〜小窓〜西仙人谷〜雷岩〜取水口〜馬場島
【メンバー】
平井 茂雄(L)、宮崎 護、村田 慎二、松井 繁良、新鞍 浩之、安田 宗人(記)
【装備】
山スキー・テレマーク・ヘルメット・ピッケル・アイゼン・ザイル(8mm)

写真集もあります。

去年、念願の大窓越えを成功させ達成感があり、今年のゴールデンウィークは剣周辺にこだわらないで違うルートを考えていた。しかし、元ジャンダルムの酒井さんの「富山県周辺の山スキールートの解説」の本を手に入れることができ、小窓越えが紹介されていた。その本では小窓越えは、他の山スキールートと違い、石やデブリの散乱した急斜面をこなすスキー技術や徒渉技術も必要とされ、一般的に考えられる山スキールートの中では最も難しいものの反面、山行を終えた時の充実感はたとえようの無いものがあると紹介されている。大窓越え、小窓雪渓等の記録はよく見るが、西仙人谷の山スキーの記録はほとんど見たことがなかったので、地元の山岳会として、どうしてもチャレンジしたくなった。一番気になる天候は、幸いにも3連休とも晴れで心配はいらない、しかし雪どけが早いため、徒渉・スノーブリッジが心配だった。

5月3日(土)快晴 馬場島〜室堂〜雷鳥沢〜剣御前小屋〜剣山荘

 6:00 上市町役場。
松井さんの車を馬場島に、前もってとめておくため松井さんと待ち合わせする。

 6:40 馬場島。
駐車場は県外ナンバーでいっぱいであったが、車一台なんとか停めることができた。

 7:30 アルペン村。
ほかのメンバーと待ち合わせし、立山駅へ向かう予定であったが、アルペン村から室堂へ直通バスが出ていることを知り、みんなで相談した結果、今日は山小屋へ行くだけなのであわてることもないと思い、変更することにした。

 9:00 アルペン村出発。
バスに乗り込んだら、吉田さんと大塚さんがいたので驚いた。2人は日帰りで立山川から馬場島へ行くそうだ。

10:45 室堂。
毎年来て思うが、ほんの1時間ほどの距離なのに雪はまだ豊富で、いまだに積雪は10Mぐらいある。連休の3日間天気が良いとの予報ためか日本中のスキーヤー・ボーダーまた観光客で、ごったがえしていた。荷物の重さを量る。リュック11.5Kであった。鉄アイゼンからアルミアイゼン変えたからか去年より1K軽かった。スキーは5Kであった。

11:10 室堂、出発。
立山川組とお互いの健闘を祈って別れる。

11:30 2300m 雷鳥沢。
色とりどりのテントが設営されていた。わたしと宮崎さんはスキーをザックに付けて直登する。ほかの人たちはシールで登った。剣御前を目指してスキーヤー・ボーダーが長い列となり階段になっていた。

13:35 2750m 剣御前小屋。
剣沢小屋満員のため宿泊不可能と表示されていたので、今日の宿泊は剣山荘にすることにした。山岳警備隊に登山届けを出した。

15:00 2500m 剣山荘。
剣御前から剣山荘へ向かう斜面は、適度に斜度があり気持ちのいい斜面だった。剣山荘の宿泊者は、それほど多くはなさそうだった。宿泊をお願いしたら、予約してあるか確認されたので予約していないと答えたら「夏山のつもりで来られると困る」と言われてしまった。それでもすぐに、部屋の準備をしてくれた。8畳の部屋に6人で十分であった。夕食まで小宴会し、5時半から夕食を食べて、8時過ぎに就寝。

5月4日(日)快晴 剣山荘〜近藤岩〜小窓〜西仙人谷〜雷岩〜取水口〜馬場島

 5:00 起床。
夜はぐっすり眠れたのでさわやかな目覚めだった。たくさんのパーティーが剣登頂を目指して剣沢の雪渓を降りて行った。朝食まで時間があったので、食堂室のテレビの前に山スキーのビデオあったので見ていたら、山小屋の主人がスキーの話をしてきた。冬の間は、らいちょうバレースキー場で食堂を経営しているそうで、スキーの事は詳しかった。6時に朝食をとる。

 6:50 2500m 剣山荘出発。
出発前に注意点を確認し、今日の小窓越えを事故なしで成功させようとお互い気を引き締めて出発した。早朝、日の当たっていない斜面はカリカリでクラストしていたが、雪質は良く滑りやすかった。正面に剣岳を見ながらスケールの大きい山岳スキーを堪能。剣沢雪渓は、幅も広く快適な斜面で、平蔵谷・長次郎谷・八ツ峰・真砂沢へ。

 7:45 1700m 真砂沢。
沢はすでに割れている可能性があるので、早めに左岸へ渡ったほうが良いと打ち合わせしていたが、左岸には渡る事はできず、去年と同じように近藤岩の手前のスノーブリッジを一人ずつ慎重に渡った。

 8:00 1600m 近藤岩(二股)。

 9:00 1830m 小窓雪渓出合。
緩やかで広大な小窓谷はシール登高が大変有効で高度をかせぐ、すると稜線が見えてきた。あまりにもあっけなく稜線が見えたため小窓の稜線とは、思えなかった。

11:02 2330m 小窓。
稜線までシールで登ることができた。

11:45 小窓出発。
いよいよこのルートの核心部である西仙人谷のスキー滑降であるが、5〜6mぐらい雪がないのでスキーを持って降りる。出だしは狭くまた急斜面のため、転倒すると滑落しそうなため慎重に滑る。ある程度滑ると、依然として急斜面ではあるが、やや広くなる。落石が2〜3回あり注意し、石や木くずが散乱しているため、左右によけたり急停止するスキー技術は必要である。下れば下るほどデブリがひどくなってくる。デブリを避けながら滑っていくが、西仙人谷は、大窓と違い狭い分デブリで完全にふさがれ、ついに滑れなくなり一箇所スキーを外さなければならなかった。

12:50 1490m 西仙人谷・大窓出合。
ここまでくれば一安心である。西仙人谷の斜面を滑り終えて斜面を振り返り、良くこんな斜面を滑ったものだと全員で達成を喜び乾杯した。しばらくしたら、大窓の斜面から10人ぐらいの団体が滑り降りてきた。次田恒夫さんと言われるガイドの団体だった。

13:20 出発。

13:40 雷岩。

14:00 下れば下るほど雪渓が割れてきて、沢の微妙なへつりを通過しなければならない箇所があり、もし落ちてしまうと濁流に飲み込まれてしまうところがあった。先に行ってみんなが通過するところをデジカメの動画で撮影していたら松井さんが転倒し、沢にズルズルと落ちてしまった。あわてて松井さんが落ちたところへ行ったのですが斜度のあるへつりのため、立っているだけでやっとであった。平井君は冷静にピッケル・アイゼンで来て松井さんのリュック・スキーを引っ張り上げてくれた。幸い松井さんは、怪我もなかったので一安心した。(スクープ映像は撮れました)

14:30 1110m。
ついに完全に雪渓が切れてしまう。去年はここから高巻いたが、対岸につぼ足のトレースがあり今年は徒渉することにした。わたしは兼用靴のままザブンと沢に入った。思ったより水量は浅く深さはひざ下であったので、たいしたことはなかった。

15:05 976m 取水口。

15:30 760m 馬場島。

17:00 アルペン村。

西仙人谷は、出だしが狭く両岸の岩壁がせまっているため威圧感がある谷だった。谷が狭い分デブリで滑りづらく、個人的には大窓コースのほうが広い分スキー滑降として堪能でき滑りやすいと感じた。

去年の大窓越え、今年の小窓越え、誰もけがをする事も無く無事成功しました。改めてメンバーに感謝します。


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