山行報告   池ノ谷(今年の一発目)

■山行報告
剱岳・池ノ谷・右俣
■目的地
剱岳・池ノ谷・右俣
■山行日
2003年5月4日
■メンバー
中村(L、記)、山岸
■コースタイム
5:45 馬場島→6:30 取水口→7:25 池ノ谷出合→10:30 池ノ谷二俣(昼食)→13:00 上部二俣→15:10 二俣→15:45 ゴルジュ入口→16:20 池ノ谷出合→17:20 馬場島
池ノ谷ゴルジュ概念図

待ちに待った今年最初の登山。4時マックスバリュー駐車場に山岸さんと合流して出発。

馬場島派出所で入山手続きを済ませ、赤谷へのデコボコ道を進みます。馬場島からデコボコ道を150m程度進んだ地点で雪のためそれ以上進めなくなり車を停めました。他に車は5台ほどいましたが、ゴールデンウィークにしてはまったく少ないようです。そこから取水口までは道路が顔を出したり雪で覆われていたりを繰り返していたので、取水口まで開通するのはそう遠くないと思われます。

取水口からは高巻きの道ではなく白萩川に沿って遡ります。念のため沢装備は持ってきましたが、問題無く残雪を拾えたので使わなさそうと思っていたら、高巻き道と合流する直前でイヤな感じで雪渓が切れていました。ただデッドマンを使って問題なく雪渓に乗り、更に進んで池ノ谷出合に到着。出合で沢装備をデポします。

練習がてらザイルを結び合いコンテニュアスでいよいよゴルジュに突入です。ゴルジュを進みクランク状の部分で埼玉から来たという単独の方が降りて来られ、「一緒に行動したパーティの人が昨日お昼前、小窓乗越から雷岩への下りで落石を受けて即死した」とのこと。気温の上昇によりそれまで氷で支持されていた石が落ちたのだろうか。とにかく気を引き締めて先を急ぎます。

ゴルジュは出会いから直線500m程度でクランク状になり、その先直線500mほどが核心と思われ両岸が狭くすごい圧迫感ですが、その先は反時計回りでRの大きな複合コーナーのような地形で、両岸は比較的開けています。

昨年はゴールデンウィークの時期既にクランク部分で雪渓が完全に落ちていて通行止めでした。一昨年は6月の時点で雪渓は全部つながっていましたが、今回一昨年よりシュルンドは口を閉じているようで、雪渓下に激しく流れている水や滝の音はほとんど聞かれなかったことから、もうしばらくゴルジュを通過できそうな感じでした。

ゴルジュを抜けて視界が一気に開け、池ノ谷・剣尾根・三ノ窓が視界に飛び込み「すげ〜」「かっこいい〜」と歓声をあげます。谷の雪渓は昨年よりきれいで、スキーにはもってこいといった状態でした。

ゴルジュを抜けて二俣まではただただなだらかな雪渓を歩きます。いつもならすばらしい景色をさかなに高度を稼ぐところですが、体調が今ひとつでなんとか10時半に二俣到着。この先安定した場所はないので早めの昼食をとり、アイゼンを付けて右俣に出発。

ゼェゼェとなんとか上部二俣に到着。上部二俣から雪渓が更に右と左に分かれます。ここまで来るのは3度目ですが、ここから先は初めてです。左側の方が早い時期に雪渓が切れるので、雪渓が続いている今のうちに左側に進むことを決めますが、上から30cm程度の落石があり、左側の切り立った剣尾根稜線上にはどうもパーティがいるらしく、左側はやめて右に進むことにします。時間も迫っていたのでもう少しだけ登って終了点とすることに決め、荷物をデポして上に進みます。

雪渓を登っている途中、巨大な岩壁の剣尾根ドーム手前に本当に米粒ほどのパーティ二人を発見。こちらが声を出して手を振ると、なんとなく手を振っているようでしたが、改めて剣尾根のスケールのでかさに圧倒されるとともに、「人間はけっこうたいしたものだ。(自分にはできないけど)」とも思いました。

その後、遥か小窓尾根上部での雪崩を何度も目撃。ゴゴゴーという恐ろしい音が深い谷にこだまし、更に登っている雪渓の上から5cmぐらいの石が鬼車となり転がってくるしですっかりテンションも下がり、結局上部二俣から100mほど進んだ時点を終了点として、交互に落石の見張りをしながらビデオを撮ったり写真を撮って急な雪渓を下ります。

荷物をデポした上部二俣まで下り、ここでアイゼンを外してグリセードで下ろうとしますが、雪が腐っていて靴が雪にのめり込んでしまいぜんぜん滑らないので、そのままずんずん下り二俣に到着。二俣からはすばらしい景色に何度も振り返りながら下ります。

ゴルジュも問題なく通過。出合には小窓からのスキー組によるものと思われるスキー跡を発見。デポした沢装備を付けて高巻き道との分岐少し下流で白萩川を腰までつかりなんとか渡渉しますが、左手人差し指を打撲してしまいました。教訓として水量が多く腰までくるような場合はザイルを出すべきと思いました。あとは問題もなく取水口に到着。そこから車までのおもしろくもなんともない道のりがとても長く、精神的に疲れました。

車に着いて派出所に挨拶を済ませて車に乗り込み、その後、馬場島から上市への山道でなぜか後輪を溝に落としていて難儀している車を発見。シュリンゲを引っ掛けて引っ張り上げ、ぐったりと帰途につく。結局重たい思いをして持って行ったトラロープ2束と岩用電動ドリルは使いませんでした。重たかった。

池ノ谷は何度来ても飽きません。今年も池ノ谷専属として爆裂する予定ではいますが、池ノ谷左俣のゴールである三ノ窓へは行ったし、右俣の上部は今回以上に上へ行くことは自分の技量からも難しく、これで池ノ谷右俣・左俣での一応の冒険的な登山はひと段落したように思います。


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