山行報告   大窓

山域・山名
大窓(剱岳北方)
山行目的
大窓に立つ
山行期日
2002年9月21日(土)
参加メンバー
安田(L)、宮崎、富樫、奥野(記)
コースタイム
白萩川取水口(976)6:27 → 東大谷出合(1250)7:45 → 三ノ俣(1580)8:30-9:00 → 大窓(2180)11:40-12:20 → 三ノ俣14:40-15:10 → 雷岩(小窓尾根取り付き)16:00-16:50 → 取水口17:20

無雪期に大窓に行った記録は、あまり無い。googleしてもほとんども引っかからない。唯一、赤谷山から稜線を通って本峰へ縦走した記録(ちょっと真似できん)が鹿児島大学山岳部にあるのがヒットしただけ。当会では、去年から白萩川を行く人が何人かいて、大窓からの中仙人谷、小窓からの西仙人谷、赤禿・白禿からの東仙人谷の出合三ノ俣は、三つの滝が出会う難所になっていることがわかっている。西仙人谷(小窓からの谷)の滝は直登不可能、東仙人谷の滝は登れそう(登った人はいるの?)、中仙人谷(大窓の谷)からの滝は安田さん・鈴木さんが登っている。

今年の夏、「大窓へ行きたい」と言う人から当会に問い合わせがあり、去年三ノ俣の滝を登った安田さんが答えていたが、結局問い合わせた人は単独で大窓に至り、小黒部谷を経由して池の平〜小窓〜三の窓〜池の谷左俣〜小窓乗越〜白萩川取水口という、素晴らしい山行をされた。アドバイスした当会に、無雪期に大窓に立った記録が無い、というのは何とかしないと、ということ、それから去年から数回三の俣の滝を見てこれを越えたい、ということで今回の大窓行きとなった。

なお、写真はこちらでどうぞ。

白萩川取水口(976M)

午前6時すぎ、白萩川取水口に車を停める。馬場島から車で林道を辿って、ここまでは入ることが出来る。6時27分出発。まず、最初の堰堤を何時ものように左から乗り越えると白萩川の河原である。以前は、「タカノスワリ」と如何にも恐ろしげな名前で呼ばれる難所だったらしいが、今はただの河原である。池ノ谷出合をやり過ごし雷岩で一息入れる。ここまでは、数回の渡渉で楽に行ける。

雷岩から先も、適当に行きやすい所を選んで渡渉したり河原を飛び石で歩いたり。去年来た時は、きれいなナメだったところも石と砂で埋まってしまって、数箇所新しい崩壊の後がある。

東大谷出合(1250M)

取水口を出発してから1時間あまりで東大谷出合。この谷は、赤谷山に突き上げている。何時か辿ってみたいと思う。

三ノ俣(1580)

ここまでは、さして難所は無い谷であるが、この三ノ俣の滝だけは何時見ても凄いと思う。ちょっと見、登れそうにないが、近付くと滝の右手が階段状になっていて登ることが出来る。今回は当会中村さんの前回山行時の残置トラナワを利用させてもらって、楽に登ることが出来た。

滝上からは、「落石の巣」のような谷になる。去年の経験(安田さん)によると「1800Mくらいまでは水がある」と言うことだったので、もう少し上で水を補給しようと思ったが、じきに流れは消えて水を採りそこねた。

石はさほど大きくはないが、その多くが浮いていて、うっかり手をかけると崩れ落ちる。慎重に浮いてないものを選んで登る。また、谷は想像以上に複雑で、新たな崩壊を本流と間違えて登ってしまった。懸垂で本流に戻ったものの、再び間違えて一本左に入ってしまい白禿の根本近くに上がってしまった。見上げるとなかなかの岩峰、間違えて良かったかも。最後の草付きをトラバース、薮を一つ漕ぐと大窓はすぐ目の前だった。

大窓(2180M)

大窓からは、大窓の頭が圧倒的な存在感で迫っている。白馬連峰も良い眺めで、眼下には小黒部へ下る大窓の雪渓が未だ残る。剱本邦は見えないが、小窓尾根は素晴らしい眺めだ。コルは狭く、テントなら二〜三張りが精いっぱい。風が強くあまり良い幕場とは言えないかも。

休憩しているとガスが湧いて寒くなったので、下ることにした。目の前の薮を下ると、何となく道っぽくなる。所どころ、木の枝にナタ目があって明らかに人の手がはいっている。それもここ数年からせいぜい10年程の間のものと見た(20年も30年も経ったものでは無いと思う)。さらに石が堤のように積んであり、何かの基礎か基部の名残のよう。腐った材木もあった。池ノ平鉱山で使っていたものか?でも、道は比較的新しい人の手を感ずる。一体誰でしょう。

しばらく「謎の道」を下り、赤布を数箇所つけて来た。途中で谷に降りて、あとは落石を気にしながら慎重に三ノ俣の滝上部まで下る。緊張の連続(下りは恐い)だった。滝は懸垂で下降、ようやく「落石の巣」を抜け出しほっとする。

三ノ俣〜雷岩、そして取水口へ

三ノ俣に降り立つと、体が濡れて寒かったので休憩せずに先を進む。飛び石すると冷え切った足の裏が痛い。しばらくするとようやく体が温まってきたので、雷岩まで一気に下る。雷岩の前で宮崎さんと富樫さんを待つ間、焚火をする。しばらくすると、打合せした訳でもないのに、富樫さん、薪を持って到着。濡れた体を乾かし、温まる。

十分温まったら、車を目指して歩き始める。取水口に着くと、疲れたけど充実した山行は終りました。

大窓は、滝の上が思った以上に複雑で、本流と違う支流に入ってしまうと、戻るのがちょっと大変かも。最初が左で次が右、右の谷に入ったら適当な所(2000M位?)で右手の尾根にヨジ登ると「道」らしきものを辿ることが出来ます。


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