山行報告   大窓偵察

大窓を望む
山域
三の又・大窓
目的
偵察
期間
平成13年10月7日
参加者
中村秀樹
コースタイム
6:30 取水口→7:05 大岩(雷岩)→7:18 ミニ・ゴルジュ→7:24雷岩屋前→8:15三の又→14:00下り開始→15:30取水口

大窓・池の平山では太平洋戦争まで鉱石を採っていたそうで、当時建っていた櫓の跡が大窓にはあるとのことでした。そこで採れた重たい鉱石は担いで馬場島まで下りていたくらいだから、登ることは不可能ではないハズだと思い今回計画しました。

また、最近取引先の人で以前大窓から下ったという人から「谷右岸側の尾根に当時の索道があるらしい」という話を聞いたので、索道さえ見つけられれば大窓へは十分行けるだろう。うまくすれば「池の平山か大窓の頭に登って、針山状態の剱岳をカメラにおさめたい」とワクワクしながら馬場島へむけ朝5時に自宅を出発しました。

6時半取水口から登山を開始。出発から35分、小窓尾根取付き目印の大岩(通称雷岩)に到着。雷岩でちょっと一服して進むこと15分。ミニ・ゴルジュ帯にさしかかります。ここには4・5mのちょっとした滝があって、その滝のすぐ横を登ることも可能なのですが、この滝の50mほど手前から川原に上がってこれをやり過ごします。ミニ・ゴルジュ帯から進むこと約5分、雷岩屋前に到着。

さらに進むと静岡から来たという7人程度のパーティに出会います。聞くと「大窓まで目指したが三の又で断念した」とのこと。少しだけ話しをして先を急ぎます。三の又手前の高度1,450mあたりで再度ミニ・ゴルジュ帯にぶつかります。この辺りは以前奥野さんと偵察に来た時、一帯が不安定な雪渓に覆われていた場所です。今はまったく雪渓は見られません。このあたりまで来るとけっこう大きな岩がゴロゴロしています。ミニ・ゴルジュ帯も問題なく通過して三の又に到着。見ると3つの谷それぞれが出合で滝を持っていて、まともには突破できないことがわかり、当初の甘い思惑が打ち砕かれてしまいました。

三の俣

小窓からの谷(西仙人谷)の滝は約25m、大窓からの谷の滝は約20m、東仙人谷の滝は10m程度。小窓からの谷(西仙人谷)は岩質はしっかりしてそうで、ハーケンとか使えば越えられるかなと思います。大窓からの谷へは岩質がもろそうで、眺めている時も上から小石がボロボロと落ちてきていたのでダメだなと思います。仮に小窓からの谷(西仙人谷)に入るにしても、谷に入って400m程進むと越えられない大きな滝があるそうで、それを高巻くために一旦大窓からの谷に入り、大窓の谷左岸から高巻きの道に入るそうです。つまり、小窓を目指す場合も一旦大窓からの谷に入る必要がありました。

西仙人谷の落ち口

3つの谷の中で最も安全に行けそうなのは東仙人谷です。東仙人谷はがんばれば行けそうでした。一旦東仙人谷に入り、東仙人谷左岸から尾根にとりついて稜線目指して登ったらおそらく大窓への索道があるんじゃないかと思い、まずは東仙人谷に入ることにしました。

東仙人谷の入口の滝は右・左側共途中まで登りましたが、帰りのことを考えて断念。次は三の又手前の崩壊地から登って滝を高巻きにかかりますが、滝を越えて谷に降りようとすると急なガレ沢を下らなければならず、ザイルがあれば帰りも安心でしたが、ザイルは車に置いてきていたので今回は辞めました。

結局3時間以上粘りましたが索道すら探すことができず、三の又少し下流で昼食をとり、帰ろうとすると魚津から来たという4人パーティと出会いました。聞くと「テレビで池の平の紅葉を見て、一番近いと思い大窓越えにやって来た」とのこと。これは「うまくするとこの人達にあやかって大窓まで行けるかも」と思い一緒に三の又までついて行きますが結局この人達も断念。仕方がないので帰り小窓乗越でも登って剣岳を眺めて帰るか。と考えて川を下りだす。ふと見ると小窓尾根側にそれまで小窓尾根と一体となってわからなかったのですが、50mほどの高台のような盛り上がりがあり、そこから小窓からの谷(西仙人谷)を見られるかもと思いガレた斜面を攀じ登りました。

西仙人谷を望む

登り切って小窓からの谷(西仙人谷)を覗いてみるとそこは日中なのに薄暗く、大きな割れた雪渓で上流は覆われ、とても危険な谷という印象でした。池ノ谷と違いここはおそらく携帯の電波が届かないハズです。池ノ谷以上に危険な印象を持ちました。

この高台から大窓を望むと、索道があるという大窓の谷右岸はかなりの高さの崖となっていて、索道があったとしてもほとんど稜線に近い高い位置にあるのではと思います。そして崖はかなり上部まで続いていたので、索道も距離的にけっこう長いのではと思われます。

14時に下山を開始。15時30分取水口に到着。

大窓へあの落石の巣状態の谷をまともに登るのは無茶だと思うので、噂の索道を見つけられれば目処は立ちます。仮に見つけられたとしても踏まれていないと思うので、ひどい藪こぎが予想され、どうも思っていた以上に大窓への道は険しいようです。


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