山岸が富山労山に入会して3度目の山行。そこでは雪洞造りと冬山一泊を初めて経験することになる。
朝6時、事務所に集合。山岸は吉田さんにザックを借り、荷造りをする。遠足の準備のようなワクワク感と、ピッケルやアイゼン等いかにも雪山という装備からの緊張感とが入り混じる。その重さときたら、会社で使う冷凍すり身20kgよりも重く感じる。
8時、ゴンドラ山麓駅にて山スキーのパーティーと出会う。大阪からやってきて、2泊3日で鍬崎山登頂予定とのこと。この辺りは山スキーでも全国的に有名らしい。
8時半、ゴンドラ山頂駅を出発。とにかくザックの重さが信じられない。みんなが当たり前のように歩き始めるので、とりあえず後に続く。しばらくしてウサギの足跡をいたるところで発見。見事に雪庇を避けて続く、理想的なルートに感心する。
9時40分、瀬戸蔵山山頂にて休憩。宮崎さんはおにぎりをカイロといっしょに断熱シートで包んでいる。おかげでホカホカのおにぎりが食べられるそうだ。
その後、大品山を過ぎ、1日目の難所へ。それは急勾配のうえ、胴の高さまである雪のラッセル。ムキになって登ったおかげで、初めて足がつった。
ついにこの急勾配を登りきり、間もなくテント場へ到着。ゆっくり休憩してから、雪洞を造り始める。吉田さんの指導の下、スコップとスノーソーを駆使し、3時間ほどで完成。拳を握った形の雪洞の中は0℃に保たれており、暖かさを感じる。
18時、食担の奥野さんが鶏団子の水炊きを作り始める。天井の雪を鍋で削り取り、湯水を作る。それと平行して宴会も開始。互いの山に対する想いやプライベートなことを聞くことが出来る。中でも吉田さんはアルピニズムについて熱く熱く語る。22時半就寝。
6時起床。6時を過ぎると外は明るくなってくる。昨晩の鍋の残りでおじやを作る。初めてのキジ撃ちはとても寒いが、街ではできないので新鮮な気分になる。これもアルピニズム。出発前にスケジュールの確認。ゴンドラの最終運行時刻を考え、10時にはテント場へ戻るという予定に。
8時、有沢さんにテントキーパーを任せ、4人でアタック開始。間もなく1,750m地点で昨日の山スキー組に追いつくが、柔らかい新雪と急勾配のために山スキーは難儀している。そこで山スキーを追い抜いていくが、今度は左に雪庇、右に谷、正面に急勾配の坂の前に足止めを食らう。吉田さんがザイルを腰に巻いて正面突破を試みるが、その間に山スキーが右の谷側を通過。そこで安全策をとり、スキーのトレースを辿ることにする。4人はザイルを握り、1人ずつ慎重に通過する。すると目の前には何者にも遮られることなく、鍬崎山の頂が待ち焦がれている。あと2時間も登れば辿り着きそうなのだが、ここでタイムリミット。9時半、下山開始となる。
テント場で有沢さんと合流し、4時までにゴンドラ山頂駅を目指す。その後道に迷って引き返したり、雪崩を起こしそうになりながらも、3時半になんとかゴンドラ山頂駅に到着。ところが強風のため、ゴンドラが運休とのこと。もう歩きたくない。そこで係員さんにお願いして、30分後に動かしてもらい、無事下山。帰り道、満員の厚生年金会館で汗を流し、生き返る。しかし家に帰るまでが山行なので、まだ気が抜けない。
今度は残雪期に登頂する予定。息を呑むような絶景を是非カメラに収めたい。
山岸は翌日ゲレンデスキーに出かけたのだが、人前で鼻水を垂らしていることが気にならなかった。これもまたアルピニズム。
富山労山のインデックスへ。
富山労山のホームページへ。