夏山募集山行の下見に、蓮華温泉から白馬大池に登り幕営、翌日三国境から雪倉岳を目指し、少し戻って鉱山道を蓮華温泉に下山した。雪倉岳の稜線はのびやかで展望がよく、本番時にはたくさんの高山植物が期待できそうだった。また、鉱山道は人の気配があまり無く、静かな山歩きが楽しめる「通」向けのなかなかのコースで、瀬戸川の渡渉は予想通りかなり大変そうだ。
午前6時30分ごろ、会事務所前に集合、私の車で蓮華温泉に向かう。宮崎さんは、仕事なのでお昼から登り、大池で落ち合うことにする。3時近くかかって、越後平岩から木地屋を経て蓮華温泉に到着する。山道に入ってからがかなり長い。
午前9時すぎ、蓮華に到着。まず、沢靴とザイル等をデイパックに押し込んで瀬戸川渡渉点へ向けて出発する。キャンプ場を過ぎてから林の中の道。しばらく行くと朝日岳方面との分岐、もう少し行くともう一回分岐。二回目の分岐を過ぎてしばらく行くと、突然崩壊の進む瀬戸川の右岸に出る。河原は少し下の方で、降り口が何処か分りにくい。良く見ると、踏み後と下の方にペンキ印があって、滑べる斜面を河原に降り立つ。本番時は、上で支点を取ってザイルを降ろした方が良いみたい。
幕営の手続きをし、晩飯を作りはじめた頃、宮崎さん到着。こちらはテント装備で標準コースタイムを縮める元気さだ。テン場には、当会の河島さんも幕営していて、我々のテントで夕食後しばし歓談する。
午前4時起床、5時30分過ぎ出発。朝は冷え込んで、小蓮華登り口に残っていた雪渓下の水溜りにはウス氷が張っていた。私は、シュラフシーツとシュラフカバーで寝たが、フリースを着ていたせいか全然寒くなかった。夏は、シュラフじゃなくてシーツ・カバーの組合せで十分いけそうだ。
早朝の澄んだ大気のなかを小蓮華山を目指す。稜線はミヤマダイコンソウ、チシマギキョウ、ウルップソウが咲き、既に夏の気配である。例年なら梅雨のまっ盛りなんだけど、今朝は気持の良い快晴で、遠くまで展望がきく素晴らしい登山日よりだ。小蓮華山の少休止を含めて2時間30分程で三国境に到着。白馬からは、いくつかのパーティが下山して来る。晴れてはいたが、本来なら梅雨のど真中、これほど大勢の人が入山しているとは思わなかった。ここまでの道のりで、特に問題になりそうなどころは無かった。
鉱山道分岐を確認して、鉢ヶ岳最低鞍部に至る。途中、蓮華に下ると言う二人パーティに出会う。鉢ヶ岳巻き道に残る雪渓にベンガラを撒いてきたと言う。小屋関係者か、何処かの警備隊の人か。瀬戸川渡渉点の昨日の状況を伝えると、「面白そうだ」と喜んで下って行った。巻き道の斜面に残る雪渓は、多分、本番までにはほとんど消えるだろう。
雪倉岳避難小屋前にザックをデポし、空身で頂上を往復する。避難小屋前には見事なミヤマオダマキの花が咲き、頂上に至る稜線にはツクモグサ、ミヤマアズマギクも咲いていた。頂上で、朝日から蓮華へ下ると言うパーティに追い付く。先程であった二人組と無線で連絡を取っている。旧鉱山道は、上部に雪渓が広い範囲で残っていて、急傾斜のトラバースもあり、注意されたいとのこと、情報をありがたく頂戴した。なお、今回の山行で唯一雪倉山頂付近が、携帯(J-Phone)の圏内だった。また、三国境から雪倉山頂までも、まず問題になりそうな箇所は無い。
鉱山道分岐まで引き返し、分岐で一息入れていよいよ蓮華へ下山を開始する。今回の募集山行での核心部とも言えるコースである。下りはじめは、広く荒涼としたザクの尾根。やがて谷筋には入ると、いきなり雪渓である。私はダブルストックで、尾田さんはステッキ、宮崎さんは何も無しである。とりあえず、私のストック一本を宮崎さんに使ってもらい、もっと厳しい所があれば、突破の方法を考えることにして下る。小尾根を巻くようにするとまた雪渓。雪倉岳の斜面にかなり多くの雪渓が残っていた。多分本番までにはほとんど消えるだろうと思うが、一部硬い急傾斜になって残りそうであり、ちょっと厄介だと思った。ただ、滑べってそのまま谷底へ、と言う場所はない。
雪倉上の沢を横断するあたりでラーメンタイムとする。既にかなり体力は消耗していて、どうにも食欲が無い。真水を飲みすぎたのも原因の一つか。水分はスポーツドリンクやお茶の形で取る方が良いようである。
ギョウジャニンニクがたくさんあって、オオサクラソウも咲いていて、地味だけど、なかなかの道である。二人組の写真を撮ってる人に出会ったのが、唯一のパーティ。写真家に教えてもらった花がミヤマハンショウヅル。
やがて枯れ沢を下り、水音が聞こえて来ると、一頑張りで瀬戸川の河原に行き着いた。水量は昨日よりもかなり減っているようだが、それでも本来の渡渉点ではとても渡れそうに無い。昨日渡渉テストをした地点で渡ることにする。水に入ると、昨日よりは流れが落ち着いている感じ。単に少し慣れただけかも知れないけど、ある程度余裕を持って渡渉することが出来た。渡渉後、河原を歩いて登山道への登り口へ急ぐ。登り口は、やはり崩壊の進む急傾斜で、本番ではザイルが必要だろう。
無事登山道へ戻ったけど、ここからが長かった。特に、蓮華温泉キャンプ場から温泉駐車場まで遠かったこと、ホントに最後はヘロヘロになってしまった。温泉で汗を流し、帰り着いた時は本当にクタクタで、これだけ消耗したのは久しぶり、でも、それだけ充実した山行でした。この山行の成果を本番に生かし、素晴らしい募集山行になれば良いと思います。
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