山スキー滑降報告、剱岳周遊・三ノ窓越え

【山域】
剱岳周遊・三ノ窓越え
【日時】
5月22日(土)〜23日(日)
【コース】
馬場島〜アルペン村〜立山駅〜室堂〜雷鳥沢〜剣御前〜剣沢小屋
剣沢小屋〜近藤岩〜三ノ窓〜池ノ谷左俣〜小窓乗越〜雷岩〜取水口
【メンバー】
平井 茂雄(L)、村田 慎二、松井 繁良、新鞍 浩之、安田 宗人(記)
【装備】
山スキー・ヘルメット・ピッケル・アイゼン・ザイル(8mm)
小屋の前で 剱沢を滑べる
ブリッジが落ち、流れが出ていた 恒例のヌード撮影(三ノ窓取り付き付近)
三ノ窓雪渓を登る 三ノ窓雪渓を登る
三ノ窓にて 池ノ谷降り口
ガス湧く池ノ谷を滑べる ガス湧く池ノ谷を滑べる
ガス湧く池ノ谷を滑べる ガス湧く池ノ谷を滑べる

この度は、会の皆さんと家族の方々にご迷惑をおかけしまして申し訳ありませんでした。皆さんのバックアップ並びに家族への対応、メンバー一同感謝しております。今回の山行を良い経験にし今後に役立てたいと思います。

私個人的には一昨年大窓越え、去年小窓越えを達成し、今年の山スキー最大の目標は、最後の窓越えである三ノ窓越えでした。目標を達成するために4月24日〜25日を決行日としましたが、季節外れの冬型になったため中止とし、5月8日〜9日に延期したのですがこの日も天候が悪く再び中止となり、5月15日〜16日に延期になりました。今年は、4月の好天気が続き雪解けが早いためこれがラストチャンスだと思っていたのですが、この日も天候が悪く中止になってしまいました。続けて中止となりモチベーションも下がり今年はあきらめていたのですが、週末は好天気の予報となったため、じっとしていられず、金曜日に急遽行くことにしました。

5月22日(土)曇りのち雨  馬場島〜室堂〜雷鳥沢〜剣御前小屋〜剣沢小屋

8:30 上市町役場。

馬場島の取水口に車を前もってとめておくため村田さんと待ち合わせする。

9:10 取水口。

明日の白萩川の渡渉が心配だったので偵察する。

10:30 アルペン村。

11:20 立山駅。

新鞍君が遅れてきたためケーブルを少し待たせてしまった。最初から波乱の始まりであった。

12:30 室堂。

今年は、雪解けが早いがバスでほんの1時間ほどでまだ雪は豊富である。ザックの重さを量る12Kであった。そばを食べて山岳警備隊に登山届けを出して出発する。

13:45〜14:00 2300m 雷鳥沢。

天気も悪いせいかテントもまばらである。雨が降ってきたがシールのききは良く稜線付近までシールで登る。

15:45 2750m 剣御前小屋。

視界が悪く風も強い。

16:00 剣沢小屋。

予約してあったので、すぐに部屋に案内された。うれしいことにシャワーの準備までしてあった。小屋は息子さんが任されていて登山者のためのサービス向上に一生懸命やっておられた。食事も豪勢で真砂沢でとれた行者にんにくに次々と揚げたてのてんぷらが運ばれてきた。夕飯は、大満足で8時過ぎに就寝。

5月23日(日)曇りのち晴れのち雨 剣沢小屋〜近藤岩〜三ノ窓〜池ノ谷左俣〜小窓乗越〜雷岩〜白萩川高巻き(ビバーク)

4:00 起床。

夜中どしゃ降りで何回か目が覚め心配であったが、朝起きた時雨は上がっていた。朝食用の弁当を食べ出発の準備をする。

5:20 剣沢小屋出発。

女性がガイドの人と出発の準備をしていたので、どこへ行くのか聞いたら長次郎雪渓から稜線に出て剱本峰を目指すそうだ。この時期でも剣沢は日本の三大雪渓だけあって、雪は豊富でスキーの滑りに問題は無く、剱岳を正面に見ながらスケールの大きい山岳スキーを楽しむことができた。平蔵谷・長次郎谷・八ツ峰・真砂沢へ。

7:30 1700m 真砂沢。

例年ではスノーブリッジを渡っていたのだが沢はすでに割れていた。沢が割れていた場合は、渡渉しかないと思い込んでいたため、すぐに渡渉の準備をした。ズボンを脱ぎスキーをザックに付け渡ろうとしたが、水量が多く流れも早くかなり深そうで、躊躇していたら松井さんが渡ると言ったのでザイルで確保しながら渡ることにした。しかし、思った以上に深く流されてしまった。ザイルで確保していたので大事にいたらなかったが、かなり危険であった。しかもこの時、松井さんの兼用靴片方が流されてしまったため残念ながら松井さんは引き帰すことになってしまった。この後真砂沢でテント泊していた2人のパーティーがスキーを脱ぎアイゼンを付け右岸をへつって三ノ窓へ向かって行った。私達も彼らの後を追った。渡渉以外ないと思い込んでしまい、もっと注意深く観察すべきであり反省すべき点がいくつもあった。

8:10〜30 1600m 近藤岩(二股)。

12:00〜13:00 2600m 三ノ窓稜線。

私と村田さんは、稜線までシールで登り平井君と新鞍君を待った。待っている間に稜線から池ノ谷を見ると、雪渓が無くガスが沸いてきて視界も悪く雲の中に入ってしまった。村田さんが私に引き返した方が良いのではないかと言ったが、ここまで来て引き帰す気にはなれなかったので、20〜30mぐらい降りた狭い急斜面中央に大きな岩が露出した所まで降りて見ることにした。するとそこから雪渓が現れたので滑り降りることにした。出だしは狭く急斜面でジャンプターンで滑るしかなかった。去年の西仙人谷以上に石が散乱していて快適なスキーではないが、両岸の岩壁がせまり威圧感があり独特の雰囲気であった。

13:35 1850m 二俣。

予報では晴れなのに雨が降ってきた。すぐに止むと思っていたが雷も鳴り始めさらに激しくなった。

14:10 1450m 小窓乗越出合。

14:40 1600m 小窓乗越。

15:40 雷岩。

白萩川はところどころ雪渓が切れ渡渉か高巻きかで時間を取られてしまった。

19:00

取水口手前で渡渉できなかったのでヘッドランプを付けて高巻くことにする。暗闇の藪の中でスキーもひっかかり大変であった。暗闇の中、枝につかまりながら下りたが先が見えず滑落の可能性もあり危険と判断したのでビバークすることにした。20時30分、平坦な所を捜しツエルトを広げた。21時過ぎまで村田さんと平井君が無線機で交信したが、つながらずあきらめた。全員雨で濡れていたため体が冷え切っていたので、お湯を沸かし体を温める。ガスを消すと一気に冷え込んでくるのをじっと耐えていたが、沢の濁流の音が気になると体がガタガタと震えだす。燃料をもたせるため1時間おきにガスをつけ暖を取る。後はひたすら明るくなるのを待つしかなかった。

翌朝3時30分

外を見ると夜が明け始め明るくなってきたのでお湯を沸かし下山の準備を開始した。4時に無線機から「富山勤労者山岳会です。」と言う声を受信。交信可能となり、山岳会のメンバーが取水口に来ていると連絡が入り、こちらも全員無事と報告して下山開始した。15分ほどで白萩川の川原に下りることができた。取水口の方を見ると会のメンバーの姿が見え、その時は非常にうれしかった。この後、山岳警備隊に下山報告。みんなをアルペン村へ送った後、帰宅しシャワーを浴び無事出社に間に合いました。

みなさんには大変なご心配と御迷惑をおかけし申し訳ありませんでした。今回の山行では、多くの反省点がありました。事故報告を提出し今後に役立てたいと思います。

最後に、全員無事下山できた事が本当によかったです。


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