装備を集めておいたり、怪我人を一時的に寝かせたり、その他諸々の拠点とするため、立木を利用してタープを張る。シュリンゲと細引きを使って立木の間にザイルを張り、グランドシートをかけてタープにする。立木の間にザイルを張るシステムは、沢登り等での設営時に、物干しに使えそうなかんじ。当日は、かなり雨が降っていたが、タープの下にシートを敷けば、結構居住性も悪くない。冬の寒い時期は使えないが、夏には良さそうです。
雨は降っていたが、タープの下で、三角巾の使い方講座を行なう。まず、三角巾を包帯にする方法。なかなか要領を得なかったが、これは、次週の普通救命士講習でも習うはずなので、もう一度きちんと学んでおこう。
三角巾を包帯にし、止血帯として使う。止血帯として使う場合、最後は本結びで結ぶ。本結びは、引っ張りに強く、結び目をひっくり返すと相当強く結んであっても簡単に解けるので、知っておくと便利な結び方だ。とくに、包帯のようにきちんと固定される強度と簡単に交換できるよう楽に解くことができる手軽さが必要な場合、有効である。柔道着を着るときの帯の結び方が本結びである。
止血帯は、木の細枝や割り箸のようなものを補助にぐっと締める方法と、補助材を使わずに締める方法の二通りある。これも、次週の救命士講習で説明があるはずなので、もう一度きちんと学んでおきたい。
負傷者を担いで実際に山道を登り下りしてみる。担ぐシステムは、カッパの上衣とザックを使ったお馴染の方法。山道は登るより下りる方が危ないか、と思っていたが、実際に試してみると登るのは大変だ。下る方は、後ろから補助すると比較的楽に担ぐことができることが判った。もし、実際に負傷者を担ぐ必要にせまられたら、できる限り下って安全地帯へ出るのが良さそうである。
支点をとってザイルをだし、負傷者を担いで渡渉する、というのが当初の目的だったが、水量多く流れも急で人を担いで渡渉するのはとても無理、ということで、とにかく上流に支点を取って下流からザイルを繰り出して渡ってみることにする。
梅雨真っ盛りの立山川は、水も冷たく流れも急で大変だった。ザイルで確保されてなければ、怖くてちょっと渡る気がしない。両岸の適当な岩にバッテリー駆動の電動ドリルで穴をあけボルトを打ち込む。まず、私がトップで渡ってみる。右岸から左岸へ渡る。流れの中央より少し左岸側に急な場所があり、流れに持って行かれそうになるが、ザイルを頼りに何とか渡り切った。渡り切ったところで支点を作りザイルをフィックス、あとはカラビナ通しで渡る。最後にフィックスしたザイルを外し、向こう側から手繰ってもらいながら渡ることで、ザイルを回収する。
全員渡ったところで、今度は左岸から右岸へ渡り返す。宮崎さんトップでお手本のような渡渉。少しずつ流されながら渡ると、良いようだ。無理に流れに逆らうと転んでしまい、頭からずぶ濡れになってしまう。右岸に戻ったところで訓練終了。実際の現場では、今回のような流れを負傷者担いで渡る場面もあるかも知れない。十分に確保して慎重に渡らないと、負傷者もろとも流されて仕舞うことになる。
立木を利用してザイルを張るシステムは、タープ張り以外にも色々応用できそうで、緊急時以外にも使っていきたい。三角巾は、止血帯の他、簡易包帯や腕吊に使ったりできて、なかなか便利である。山行には必ず持参したい。負傷者を担いだら、先ず下ることを考えなくては。とにかく、緊急時に慌てないよう、今回のような訓練を年一回程度は実施したい。今回の参加者は10名だったが、今後もっともっと多くの会員に参加してもらいたいと思う。
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