山行報告   池ノ谷左俣偵察

池ノ谷右俣・大滝
山域
剱岳池ノ谷
目的
偵察
期間
平成14年6月8日
参加者
中村秀樹
コースタイム
6:30 取水口 → 9:30 二俣 → 11:30 剣尾根コルE → 14:00 剣尾根ドーム → 15:00 二俣 → 17:00 取水口

先週急性胃腸炎で寝込んでしまい体の調子が本調子ではなかったのですが、残雪の具合や天候、梅雨入りなどから考えて土曜に池ノ谷左俣へ偵察に行くことにしました。

6時半取水口を出発。白萩川を遡ります。渡渉の装備があれば雷岩までまったく問題なし。雷岩でいつものように渡渉装備をデポして小窓尾根に取り付きます。つらい尾根を登りきって見た池ノ谷はうっすらガスで覆われていてがっくり。しかし天気予報は晴れだったので、そのうち晴れるだろうと池ノ谷に下りますが、池ノ谷の雪渓の上を妙に生暖かい風が吹いていたので「こりゃ今日はもう晴れないな」と思いました。

先々週来た時は快晴だったので疲労回路がショートしてグングン高度を稼いだのですが、体が本調子ではないのと天候がいまいちなので足の進み具合も今ひとつです。

なんとか9時半に二俣到着。するとテントが二張りあって、聞くとプロガイド引率の池ノ谷7人ツアーで、「これからガイドの人とゆっくりペースの人4人が三ノ窓から降りてくる」とのこと。池ノ谷で人と会うのは珍しいからか少し話し込んでから三ノ窓へ出発。40分ほど上がったあたり。小窓尾根デルタフェースを少し上がった対岸剣尾根のR(ルンゼ)10は稜線までしっかりと雪がついていて、労せずコルEまで行けそうだったのでニコニコしながら駆け上がり、池ノ谷右俣上部を眺めました。すると、早月尾根上部から滑落した人に致命傷を与えると言う大滝を眺めることが出来ました。ゴールデンウィーク、この滝は凍っていたそうですが、今はどうも水が流れているようです。「剱岳頂上付近なのでそんなにでかくないだろう」と思っていましたがたしかにでかい。ここから見ると早月尾根上部から滑落したらすべてその大滝に集約されるような地形となっていて、あの滝が恐れられているというのは良くわかりました。その後池ノ谷左俣に戻ってまた三ノ窓を目指します。

剱尾根コルE

三ノ窓の手前500mほどの地点で右横から雪渓が流れ込んでいます。そのまま進むとじき三ノ窓ですが、ここを右に進み、剣尾根のルンゼ2(R2)取付きへ偵察に向かいます。10分ほど進むとルンゼ1とルンゼ2の取付きがあり、そこを数分登ると左がルンゼ1、右がルンゼ2に分かれていました。ルンゼ2の幅は約1.5m、両側は岩壁。傾斜だいたい35度。幅・傾斜共そのままでコルBまで続いていて、雪もコルまでしっかり付いていました。思っていたほど難しそうではなかったのでコルBを目指します。

取り付きから80mほど登ってコルBに到着。コルBの向こう側は池ノ谷右俣側へαルンゼとなって落ちていました。コルBは岩コルで一人がやっと座れるほどのスペース。そこからドーム稜に少し入ります。「ドーム頂稜はお花畑が一面広がる別天地で、くつろぎながら剱岳を眺める自分の姿」を想像していましたが、ガスで視界がきかず、ドームもけっこう岩でゴツゴツしていて想像していたのとは大違いでした。剣尾根にしてはなだらかかもしれませんが、しかしその先は数百mの絶壁なのでかなり腰が引けていました。時間も午後2時を回ったので三ノ窓はあきらめて下山を開始しました。

ルンセ2はアイゼン・ピッケルを利かして慎重に下り、後は二俣までズンズン下ります。二俣に着くとツアーの方からコーヒーをいただき一服した後とっとと下山。5時に取水口駐車場に到着しました。

今回天候はガスだったのは残念でなりません。しかも降水確率40%の翌日日曜は快晴となり、とても悔やまれます。また、日帰り三ノ窓も今回の目標でしたが、時間の関係で実現できませんでした。しかし、十分日帰りは可能ということが証明できました。次回機会があればやってみたいと思います。


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